2010年12月21日火曜日

【お金の話】第5回:米ドルが紙切れになった日 – ロケットニュース24(β)

・米ドルが本当の紙切れになった日
世界で唯一、金(きん)の引換券だった米ドルだが、1971年8月15日のニクソン大統領の突然の発表により、金との引換えが停止された。

この瞬間、世界のお金は金の裏付けを失い、単なる紙切れになったのだった。この計画は米国議会にも報告されておらず、誰にとってもあまりに突然だった。世界の人々は、米国の金の交換停止を「ニクソンショック」と名付けたのだ。

・何故、ニクソンは金の引き換えを停止したのか
この時、米国はベトナム戦争の泥沼化により、多くのお金を必要としていた。その為、金とドルの交換を保証した体制では、これ以上、戦争の費用を得ることが不可能な状況に陥っていたのである。

「ドルと金を切り離せば、いくらでもお金(ドル)を刷ることができる」当時のニクソン大統領はこの誘惑に負けたといえるだろう。そして、この時代のアメリカは本当に豊かで幸せであり、軍事的にも誰もが疑わない世界の支配者であった。

ニクソン大統領の頭には、「金と切り離しても米ドルは完全に価値を失わない。」との目算もあったのだろう。また、ドルの金との切り離しによりドルの価値を意図的に落とし、ドル安による輸出競争力を上げるという目算もあったと思われる。

実際、この目論見は成功し、ドルの価値の暴落を恐れた他国はドル基軸体制をそのまま継続することを選択し、その後、変動相場制(市場で通貨の価値を決める)への移行で合意したことで、ニクソンの目的は達成された。

この年の12月、円は1ドル360円から一気に308円まで切り下げられ、その後、1973年に完全な変動相場制に移行することになった。覚えておいてほしい。1971年8月15日、終戦記念日と同じ日、ドルと世界の紙幣は単なる紙切れになったのだ。次回は、ほんとうに紙切れになったお金の話しをしたい。
(文=経済評論家・渡邉哲也

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