2009年3月30日月曜日

アメリカのヒーロー像を理解する--エリック松永の英語道場(21) - エリック松永の英語道場 - ZDNet Japan


What's up, man?

 皆さんのアメリカのイメージは何でしょう? 以前ご紹介したHalle Berry(ハル・ベリー)やBarack Obama(バラック・オバマ)大統領に共通して感じられるキーワードは、「逆境に立ち向かう強いアメリカ」ではないでしょうか。先日私が観たDVD、Nicolas Cage(ニコラス・ケイジ)主演の「World Trade Center」(ワールドトレードセンター)でも、911の同時多発テロをテーマに、やはり逆境に立ち向かうアメリカ人の力強い姿が表現されていました。何度か扱ってきたアメリカンコメディーも、どんな失敗や不幸も笑い飛ばして乗り越えるというアメリカの精神がなす独自の世界なのかもしれません。アメリカという国、またアメリカ国民を知るにあたって、この逆境に立ち向かう力強い姿勢とその美学を少しでも理解したいものです。

 金銭的には豊かになった現代ですが、実際にはストレスに苦しみ悩む人が年々増加しているのが悲しい実態です。とはいってもストレスの元を完全に取り除くことは、複雑な現代社会では現実的ではありません。そんな厳しい状況の中、様々な認知されにくい病気に悩む人、支える人、そしてそれを乗り越える人がいます。

Keith イラスト: まつなが みか

 今回ご紹介するのは、アメリカを代表するジャズピアニストKeith Jarrett(キース・ジャレット)です。Keithは、ジャズの神様Miles Davis(マイルス・デイビス)のグループで有名になり、その後improvisation(即興演奏)でソロピアノコンサートをするという新しい分野を開拓し、常にトップで活躍してきました。現在では精力的に音楽活動を続けているKeithですが、彼は一時期音楽家として大きな危機に陥ったことがありました。

原因不明の難病に苦しむKeith

 1990年代後半。ツアーの途中で極度のけん怠感がKeithを襲いました。その時彼は、音楽だけでなく、全てに対して気力が沸かず、演奏できなくなってしまいました。Keithいわく、経験したことがない人にはわからない恐ろしいけん怠感だったとのことです。その時の様子を、Keithは次のように語っています。

It's, as though, alien invades into my body, that's how I felt... 中略 ...I couldn't play, I couldn't look at the piano. I couldn't uncover the piano. Too much energy. (deep sigh)

エイリアンに身体を支配された、そんな風に感じたんだ…… 演奏なんてできなかったし、ピアノを見ることもできなかった。ピアノのカバーを開くことさえね。そんな力すらなかったんだ(ビデオ映像でKeithは、見ている方がつらくなるほどの深いため息をついていました)

 彼をむしばんだ病気は、「CFS:Chronic Fatigue Syndrome」(慢性疲労症候群)という原因不明の難病です。症状が慢性疲労と似ているため理解されにくく、周囲からのストレスがさらに病状を悪化させるケースもあり、周囲の人の理解と愛がとても重要なセンシティブな病気なのです。日本でもCFSで苦しんでいる人達が数十万人いるといわれていますが、認知度の低さからCFSと診断されず、誤診で苦しむ人も多いそうです。海の向こうの話でないことは覚えておいて下さい。

 Keithの場合も、やはり最初はCFSとはわからず、精神的なことが原因だと思われていたようですが、幸運にもある医師と出会い、正しい病名がわかったそうです。

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