2011年5月2日月曜日

武田邦彦 (中部大学): 新聞記者、専門家など情報発信者に自制を促す

先日、あるテレビで、1年100ミリまで大丈夫という男性の医師や、女性の大学教授を全面に出して、「被曝は問題ない」と強調していました。

また、大新聞が大きな記事で、「1年間100ミリでも発がんはたいした事はない」と書いていました。

このような放送や記事があると、「どこまで安全なのか判らない」と不安になるのは当然でしょう.

・・・・・・・・・類似のこと・・・・・・・

あるテレビで、出来たばかりの高速道路の紹介があったとします。素晴らしい道路で、直線、見通しも抜群です.

でも、制限速度は時速100キロになっています。

そこで、アナウンサーが、

「素晴らしい道路ですね。こんな道路なら時速200キロでも大丈夫ですね」

と言い、傍にいた自動車愛好家が、

「そうです、私は300キロまで出しました」

と放送したとすると、もちろん「反社会的な報道」ということになるでしょう。

確かに、その道路は時速200キロ、もしくは自動車の運転が上手い人なら300キロまで大丈夫かも知れません.

でも、人の命に関わることですから、時速100キロと決まっていたら、100キロと言うのが正しく、100歩譲っても、

「この道路は、時速100キロですから、それ以上は速度違反です」

と言わなければならないでしょう.

つまり、法律や規則がなければ、自由に言っても良いのですが、制限速度が決まっていれば、それに触れるのが常識です.

・・・・・・・・・

こんな当たり前のこと(法律がある場合は、それに触れずに個人的な判断だけを言うのはルール違反)が、福島原発事故では無視されています.

1.   

法律で決まっている「クリアランス・レベル」
原発や放射性廃棄物などで汚れたものは、クリアランス・レベルを下回らないと移動できない。違反すると1年以下の懲役。
線量は1年に20マイクロシーベルトで、1年1ミリの限度の50分の1。文科省所管の法律。
川崎市、愛知県の瓦礫の引き取りは法律違反で市長と知事は懲役1年未満になる可能性がある。

2.   

原発など放射線を発する施設の境界は1年50マイクロシーベルトまで(自主規制)、

3.   

言わずと知れた「一般人1年に1ミリが限度」の法律(数が多い)・・・道路の制限速度のようなもの、

4.   

職業人の「1年に20ミリ」の法律(数が多い)・・・成人男子、職業として、健康診断ありなどの制限のもとで許される。

これだけ法律があるのに、NHK、大新聞などは法律があることすら触れずに「100ミリまで安全」などという専門家を出して、「被曝しても大丈夫」という宣伝をしている。

自由な意見を認めるとしても、最低でも「法律では1年1ミリになっています」、「この道路は200キロでも大丈夫かも知れませんが、制限速度は100キロです」と言うべきでしょう.

自制を求めます。

Posted via email from realtime24's posterous

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