国際戦略コラムに出ているんだが、中国内部が揉めている、というわけだ。現在、実権を握っているのは団派と呼ばれる叩き上げの連中で、共産主義青年団出身だから団派なのかね? ところが、いまだ根強くくすぶっているのが、太子党と軍部の連合で、
中国の国家体制は戦前の日本と同じで、内閣が軍を抑えることが出来ない。ナンバー1は胡錦濤国家主席であるが、ナンバー2は常務 委員長の呉邦国で太子党かつ軍部の支持を得ている。ナンバー3が温家宝首相である。軍事委員会は内閣とは別であり、内閣より上の状態にある。今回の事件は元軍艦の漁船ということは軍部が実行したはずである。
中央軍事委員会主席は団派の胡錦濤であるが、実権は郭伯雄で中央 政治局委員で太子党の方に組する。中央政治局の常務委員では、団派が5名(胡錦濤、温家宝)、太子党4名(呉邦国)という勢力である。この団派と太子党の権力闘争が起きる可能性が高い。
というような事情があるらしい。で、足の引っ張り合いというか権力闘争が激しくなっていて、その余波で、軍部の意向を汲んだ「船長」と称する人物がわざと事件を起こした、何のためにそんな事をやるかというと、宮崎正弘の国際ニュースのメルマガで出てるんだが、
中国人の特性、その一。大風呂敷を広げあう技術はあるが、たたみ方を知らない。
その二、大きなことを先に言った方が勝ち。その三、白を黒と言 い尽くす心臓があるか、ないかで人間の器量が問われる。
この特性を把握しておけば、いま強気で吠えている彼らの習性が飲み込める。
強気であればあるほど、じつは内部に隠したい何かの弱みがあるはずで、それは権力闘争に起因する最終的な場面が、ひょっとして北京の奥の院で繰り広げられている可能性もある。団派と、軍部を背後に持つ太子党との熾烈な権力闘争が中国内部で起きていて、軍部がワザと事件を起こし、太子党が裏で糞青を煽って大騒ぎして、団派を追い落とそうとしている、というわけだ。なので、
<太田>(同上)
<尖閣問題を見ていると、>中共当局がおかしい。まともな判断ができなくなってきている感じだ。
これから何が起きるか分からない、と思ってた方がいいだろう。
<harupuu>(同上)
もともとまともな国家ではないから、おかしくないし何が起こるかわかる分けない。防衛省OB太田述正ブログでもそう書かれているんだが、なので、「結果的に、日本の検察が中共当局を救ってやった形」になるわけですね。まぁ、日本でもここぞとばかりにネトウヨが大騒ぎ、政府要人に対してテロ予告までされているんだが、ところで太子党には江沢民の上海閥が後押ししているわけだ。これも宮崎さんちのサイトなんだが、
第十七回党大会は、江沢民の懐刀だった曾慶紅が「引退と引き替えに」、習近平を三階級特進させた。浙江省書記からまず上海市書記に栄転させ、ついで政治局常務委員、国家副主席と三段階を一気にまたいだ。
曾と、その背後にいる江沢民の意思である。同時に曾慶紅は賀国強と周永康を法務公安規律のポストに送り込んだ。つまり習、周、賀の三人が政治局で「江沢民派」であり、同時に習近平は太子党の利権を代弁する。
だから筆者は書いた。
「中国では石川五右衛門と長谷川平蔵は同一人物である」と。いうまでもなく利権汚職と捜査の元締めが同じだから(呵々大笑)。
さて上海派と太子党にとって「団派」(共産主義青年団)ほど疎ましくも邪魔の存在はない。胡錦涛、李克強、李源潮、王洋らが団派である。
中国史をちょっとでも研究した人なら誰でも承知なんだが、あの国は権力闘争がいつの時代も物凄いわけだ。その意味では、釣魚台なんざオマケみたいなもんで、その背後に何があるのか、それを考えなきゃならない。で、
上海閥は北京閥を弱体化させる目的があると思われ、その節目は10月に開催される五中全会で胡錦濤国家主席の後継の最有力候補とされる習近平国家副主席が軍の要職である中央軍事委員会副主席に選出されるかどうか、ライバルの李克強がどうなるかが焦点だ。習近平は上海閥、李克強は団派(北京閥)の様である。
今後は、上海閥の代表である習近平と、北京閥・団派の李克強のライバル関係が注目されるわけだが、
「習近平V.S.李克強という“国家主席レース”は一般に知られていますが、中国ではいま、あらゆるところで対決の構図が広がっています。胡錦濤国家主席が温家宝首相を批判したという話も有名です。さらには政権内部、軍内部に広がる腐敗、汚職の話題もひどい。江沢民が死ねば一族は消滅するなどという噂も、実しやかに語られているのが現状です」
「軍用地転売問題など、目に余る腐敗、汚職で、国内がガタガタになっている。こうしたときに国民大衆を一致団結させるためには、外敵を作ることです」(S新聞政治部・A記者)
上海が「不動産バブル」だというんだが、そら、国家の財産を売っぱらってカネをフトコロに入れれば儲かりますね。上海閥というのは、そんな事ばかりやってるわけだ。まぁ、北京閥も真っ白というわけじゃないんだが、で、軍部というのはどこの国でも、いつの時代でも、自己増殖を旨とする組織でありまして、平和が続くと自分の立ち位置が弱くなるので、常に緊張を作り出さないと生きられない。そこら辺の利害関係が一致して、団派追い落としのために作られた「緊張」だという見方もある。なので、「中国漁船のぶつけ方から考えると、あの船長は訓練された軍人の可能性も」とか言われるんだが、まぁ、間違いないですね。
ところで、田中ウーさんによれば、だ。今まで尖閣諸島海域というのは、日中、双方の漁船が自由に出入りして魚を採っていたわけだ。ただし、「領海内には立ち入らない事」というので、台湾や香港の船が領海に入った場合は海上保安庁の船が追い廻して入らせなかったんだが、それというのも鄧小平の時代に「日中間の領土紛争は棚上げ」という合意が結ばれていて、お互いに自重しましょう、と、カネ儲け優先と合意が結ばれていたわけだ。そのおかげで中国はここまで急成長を遂げたんだが、
日本の海保は、中国漁船を監視する巡視船を尖閣周辺に配置してきたが、トウ小平以来の日中間の領土紛争棚上げの合意もあり、これまで日本側は尖閣領海で、台湾や香港の船を激しく追尾しても、中国の船を拿捕・逮捕したことはなかった。日本も中国も、民間に「尖閣(釣魚台)を守れ」と主張する政治活動家がいても、政府としては対立を避ける姿勢を互いに採ってきた。その意味で今回、日本の当局が中国の漁船を拿捕し、船長を起訴する方針を固めたことは、日本が政府として中国との対立を決意する、対中国政策の劇的な大転換を意味する画期的な動きである。
尖閣領海内は日中漁業協定の範囲外だが、外交的に日中間には、尖閣について日中は敵対しないという、トウ小平以来の日中の了解があった。今回、日本側がそれを破棄し、日本の法律を使って中国漁船員を逮捕するという、領有権をめぐる強い主張に踏み切ったので、中国政府は驚き、怒ったと考えられる。
そして、結果として、中国の「漁業監視船」と称する実質的な軍艦が尖閣諸島近海を今でもウロウロしてるんだが、アメリカが怖いので、領海には入って来ないようで、とはいえ胡錦濤としても、大風呂敷ひろげて大騒ぎしとかないと、やれ、売国だ、日本に屈したと叩かれるわけで、と、そこら辺があちらさんの事情です。まぁ、しょせんは中国内部の争いなので、日本人までそんなもんに振りまわされて軽挙妄動しないように、という事だな。
2010年9月25日土曜日
ネットゲリラ: 広げた風呂敷が畳めない
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