日本は戦いに敗れ、アメリカの属国となり、伝統を捨て大麻を麻薬とした。長い間、江戸時代、明治時代、大正、昭和まで普通に大麻を栽培していて何の問題も起こらなかったのに、不思議なことに大麻を麻薬として取り締まるようになってから、新しい社会現象が現れた。
それは「大麻を麻薬として吸う」という犯罪が発生したのである。わかりにくいと思うので繰り返すと、
「大麻が自由に栽培されていた頃には、誰も大麻を吸わなかったのに、麻薬に指定したとたん、日本人は大麻を麻薬として吸うようになった」
ということである。もともと、大麻には「麻薬性」がない。麻薬とは「強い精神作用があり、幻覚症状のような社会的に問題の症状が現れるもので、習慣性があって抜けられないもの」である。大麻は「強い精神作用」もなく、「習慣性」もない。だから、規制さえしなければ誰もバカらしくて吸わない。そこら辺の雑草を煎じて飲むようなものだからである。
それは科学的にも正しく、日本の長い歴史が示している事実である。
精神作用の大きさや習慣性から言うとお酒、タバコに比べて大麻はほとんどゼロといって良いので、誰も大麻を麻薬とは考えなかったのである。
ところが大麻を麻薬として規制した昭和23年以後、大麻自身は昔と変わっていないのに、日本人の方が変わった。というより、日本人の体も変わっていないのに、突然、大麻が麻薬として効くようになったのだ。大金をはたき、麻薬使用で逮捕される危険を冒し、大麻を手に入れて吸うと大麻が「効く」のである。実に不思議な現象だ。
この奇妙な事実は、人間というものをよく考えると、納得できるところもある。人間は幻想の動物だ。本能が命じても脳の判断で本能を押さえることができる。頭で「これは美味しい!」と思うと、味覚を感じる舌は美味しいとは思わなくても、美味しく感じる。人間とは幻想の動物だから、そういうものだ。
大麻を麻薬として禁じる。そうすると日本人の頭には「大麻は麻薬」と信じる。お上のやることだから正しいと思うし、事実、大麻を吸うとマスコミは騒ぐ、すぐ警察に逮捕される。さぞかし、素晴らしい麻薬だろうと錯覚する。そして大麻を吸うと、麻薬のように効く。
「裸の王様」という寓話がある。本人は裸でなにも着ていないのに、取り巻きに「王様、素晴らしお洋服ですね!」とゴマをすられると自分が裸であるのも判らなくなるという有名な話だ。大麻パーティーはまさにそれで、麻薬性のない大麻を「取締をくぐる」という行為をすることによって麻薬のパーティーを開くことができるのである。
そこに大麻を使う「悪の温床」ができる。もともと、大麻は麻薬ではないので、規制しなければ大麻を吸う人はいないので「悪の温床」もできない。実は、「犯罪の創造者」は「大麻取締法」であって、大麻を販売したり、使う人ではない。
非科学的な法律、大麻取締法を作ったために、犯罪の無いところに犯罪を創造した。本来、犯罪を防ぐはずの「法律」が犯罪を「創造」する。それは、誇り高い日本人がアメリカの言うこととなると、判断力を失うことと同じである。
終戦後60年も経て、情けない。大麻取締法を廃止して犯罪を創造するのをやめよう!
2010年9月17日金曜日
武田邦彦 (中部大学): 随想 大麻犯罪の創造者
via takedanet.com
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