2011年1月19日水曜日

蕎麦屋の酒: 八つぁん

蕎麦屋の酒

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蕎麦屋の酒は旨いと言います、美味い酒を飲むなら蕎麦屋に限るんだそうで。蕎麦屋の酒といえば昼酒も外せない、まだ明るい昼下がりに気兼ねなく酒を飲める店といえば、蕎麦屋をおいて他にはありません。 蕎麦屋には上酒が置いてありましたが、上酒一合四十文という値段だったのです。上方では、上酒一合が二十四文でした。饂飩・蕎麦の値段は江戸と変らない十六文なのに、江戸の蕎麦屋の酒が四十文というのは、灘・伊丹・西宮からの下り酒だったからです。 関東の地酒は味において灘には及ばなかったので、樽廻船で運ばれてくる本場の酒が好まれたのです。 江戸の蕎麦屋は下り酒を置いていたと言いますが、二八蕎麦を売る一般の店は外しての話でしょうから、並の蕎麦屋では関東の地酒をおいていたのでしょう。 江戸に単身赴任していた勤番侍は、紀州藩の武士でも経費節約のために自炊が殆どの生活だった言いますから、外食して下り酒を飲むなどと言うことは高根の花だったでしょう。もっぱら、安い火酒(焼酎)を味噌をなめながら飲んでいたようです。 

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