2010年12月12日日曜日

電網辻々噺: 郵便将棋

518 :名無しさん@3周年 :02/10/15 17:19 ID:qm/eADSg

「郵便将棋」というものがある。
封筒に次の手を記した紙を入れ、対戦相手に送る。
相手は、その内容に従ってコマを進め、次の自分の手を
送り返す、というものを勝敗が決まるまで続けるのだ。

ウチのじいちゃんは、その郵便将棋をやっていた。
郵便将棋で決着が着くのは、相当頻繁にやり取りをしても、
5年近くかかるという。じいちゃんが郵便将棋を始めてから、
約3年が経ったころ、相手からの返事が来なくなったと、
じいちゃんが困った顔でばあちゃんに相談していた。
俺は「郵便事故かもしれないし、何度か送ってみたら?」と言った。
すると、もう5回は送っているそうで、なにかあったのかと不安の様子。

それから三ヶ月くらいが経ったある日、相手からの返事が来た。
封筒の中には次の手が書いてある紙だけで、「遅れてすまない」といった
ことは一文も書かれていなかった。じいちゃんは「相変わらずだな!」
と笑っていた。しかし、郵便将棋が再開してから、なんとたったの半年で
じいちゃんは勝ってしまった。相手の人が、なんだか弱くなった気がすると、
じいちゃんもアッサリ勝てたことが納得いかないのか、不思議がっていた。

520 :名無しさん@3周年 :02/10/15 17:19 ID:qm/eADSg

それから1ヶ月が経ったある日、その相手から一通の手紙がきた。
その内容は「○○さんゴメンなさい、実は僕は○○じいちゃんの孫で、
○○と言います。○○じいちゃんは去年、心臓病で亡くなりました。
そのとき、ずっと何度も郵便将棋の決着が気になる、もっと生きたい
と言っていて、半年くらい将棋を勉強して、僕がかわりに続きを
やっていたんです。弱くてゴメンなさい……」といったものだった。
ウチのじいちゃんは号泣して、すぐに相手の家と連絡を取って、
そのお孫さんと会うようになった。

で、実はその子の家は、おじいちゃんとおばあちゃんと孫の三人暮らしで、
おじいさんが死んで、おばあちゃんも先月から入院してしまい、このまま
だと児童相談所に預けることになる……という話しをおばあさんから聞き、
なんとウチのじいちゃんはその子を養子として迎えちゃいました。
離れの部屋まで建ててあげて、毎日将棋を指しています。
じいちゃんの口癖の「この子は将来、羽生名人を超えるぞぉ!」を
聞くたびに、俺はけっこう幸せな気持ちになるのでした。

My実話!長くてごめんよ!
「羽生名人」って見て、思い出したので書いてみました。

Posted via email from realtime24's posterous

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