ひどい本が出たもんだ。政治宣伝の典型の様な本が出ている。誤った経済政策をまともなように装丁して出版するやり方である。構造改悪が、外国勢力の影響を受けた改悪であった様に、郵政民営化が単なる私物化であったように、外面と中身とが離反することがあるが、それを政治宣伝で黒を白と言い含める場合がある。日本では未だに、そうした勢力が残存していることを伺わせるような内容の本である。
全くひどい本が出たものだ、と言う書き出しの書評である。政治宣伝、虚偽の報道などと戦っているジャーナリストの評論である。
http://www.pjnews.net/news/490/20100807_2
民営化の部分を引用する。デタラメな本である事がわかる。
「収奪のための扇動は、郵政民営化の擁護だ。郵政改革は郵貯を「政府の便利な財布」にし、預け入れ限度額の引き上げは民間の投資機会を奪うものだと訴える。民営化の動きを阻むのは、既得権益を持つ郵政ファミリー票をバックにした政治家や官僚だとつづる。
「便利な財布」と言うが、政府は郵貯があるから国債を発行するのではない。もし買うのをやめれば、長期金利が上がって大規模な信用収縮が起きるだろう。警察や消防、自衛隊職員への給料も払えなくなって、パニックになる。予算が組めないどころの話ではない。
「民間の投資機会を奪う」と言うが、民間の金融機関は青天井で、ユニバーサルサービスを提供する義務もない。そもそも今の金融機関は企業融資による産業振興という本来の役割を放棄している。利益の大部分は利率の高い外債での運用や手数料稼ぎだ。銀行に本来の役割を果たしてもらうため、むしろ政府はまだ豊富な預貯金を国債を通じて公共投資に振り向けるべきではないか。
郵政票の威力を危険視するが、全国郵便局長会(全特)の集票力は2004年に28万票まで低下している。現に7月の参院選では長谷川憲正氏が落選した。国民新党の亀井静香代表も下地幹郎幹事長も郵政族ではない。民営化に反対するのは既得権益を守るためではなく、郵政資金が「外国の財布」になるのを防ぐためだ。
この本が不自然なのは、小泉純一郎元首相と竹中平蔵元金融相を執ように持ち上げていることだ。「日本沈没を食い止めた小泉・竹中改革」という章をわざわざ設定。株価と失業率を引き上げ、財政状況を改善したのは小泉内閣だったと強弁する。
しかし、株価が上昇したのは世界的な好況に浴しただけのこと。2003年5月にりそな銀行を税金救済するまでは「大銀行でも大きくてつぶせないと言うことはない」と不安をあおり、東証平均株価は7000円台まで落ち込んだ。この過程で多くの自殺と倒産が発生し、無数の伝統企業が二束三文で外資に買収された。
失業率が5.5%から一時4.0%に下がったとするが、内容については問わない。2004年の労働者派遣法改正によって、就労者の三分の一は非正規職員になった。相対的貧困率は1984年の7.3%から2007年には15.7%まで急拡大しているのに。
小泉政権は財政均衡に成功したと書くが、小泉内閣の期間、「国の借金」は294兆円強増えた。財務省の「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」を見れば一目瞭然(りょうぜん)である。」以上引用。
公開質問状も出ている。
2010年8月16日月曜日
Ugly Propaganda book: Tokyonotes 東京義塾
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿