ここで「ウェブ・アプリ」がどのようなものであるか知る必要
があります。それには、「ホームページ」と「ブログ」の違いに
ついて理解することが問題の解決に役立つと思います。
ここまでブログが普及した現在においても、ホームページとブ
ログの違いがわかっていない人は多いのです。それはマスコミの
報道のやり方にも責任があります。報道する記者自身が、よくわ
かっていないのです。
ブログが登場したときマスコミは、「簡易ホームページ」とか
「日記風ホームページ」という表現で紹介しています。このよう
に表現されると、ホームページもブログも基本的には同じもので
あって、ブログはホームページを簡単にしたもの、つまり、ホー
ムページの簡易版——このようにとらえてしまいます。
「簡単にしたもの」という表現をすると、ブログは技術的に簡
単なもの、すなわち、技術的にホームページの下にくるものとい
う間違ったとらえ方をしてしまいます。しかし、実際には、技術
的にはホームページよりもブログの方が進化しており、情報発信
やサイトの更新が簡単になっています。
もうひとつ最近の話ですが、「ツイッター」というものが流行
しつつあります。マスコミは例によってこれを「ミニブログ」と
か「簡易ブログ」と表現しています。マスコミの記者自身が自分
でもよくわからないまま、このように報道しているのです。
最近では「ブログ」に括弧書きで説明することはなくなってい
ますが、実際にブログをやっていない人は、依然としてブログが
何であるか知らない人は多いと思います。そういう人にとっては
「ミニブログ」とか「簡易ブログ」といわれても、一層わからな
くなり、困惑してしまいます。
そこで、改めてホームページとブログの違いをなるべく専門的
にならないように説明します。そうすれば、ツイッターも容易に
理解できるようになります。
ホームページを構築するときは、一からプログラミングするか
ホームページ作成ソフトを購入し、自分のPCで作ることになり
ます。ページのレイアウト構造などはすべて自分で作り上げる必
要があるし、ある程度のウェブの構造などの技術的知識が必要に
なるので、素人にとっては相当敷居の高い作業になります。その
代わりプログラミングをマスターすると、全体ページのレイアウ
トやデザインなどについては、自分の好みの綺麗なホームページ
を作ることができます。しかし、相当の努力が必要です。
そして、ホームページが完成すると、そのファイルをプロバイ
ダーの指定のサーバーに転送してはじめてインターネット上に公
開されることになります。しかし、こういう作り方では着手から
完成まで相当の期間がかかります。コスト面からみても、ホーム
ページ作成ソフトの購入費やサーバー関係の費用など、それなり
のコストがかかります。
それに対してブログの場合はどうでしょうか。
一般的にブログの場合は、それを提供する業者のサーバーに接
続した状態でサイトを作成するのです。ユーザーのPCと業者の
サーバーが接続されていると、ブログの構築についてサーバー側
がいろいろな支援をユーザーに対して行うことが可能になるので
す。技術的にはCMS——コンテンツ・マネジメント・システム
というソフトウェアによってそれを可能にしているのです。
これによって、ブログの場合は、ユーザー側に技術的知識がな
くてもサイトを短時間で作り上げることが可能になります。人に
もよりますが、レイアウトなどに凝らなければ、半日もあればブ
ログを立ち上げることができます。しかも、料金は無料です。
そして何よりも便利なのは、ブログの場合は情報の発信——ブ
ログの更新が簡単にできることです。これもCMSの恩恵なので
す。ホームページの場合は、いったんPCでコンテンツの追加や
削除を行い、その修正ファイルをプロバイダーのサーバーに転送
する——このようにホームページの情報の発信は不便です。
実はこのユーザーのPCと業者のサーバーがつながった状態で
マイクロソフト・オフィスのサービスを提供しようというのが、
「ウェブ・アプリ版・オフィス14」のサービスなのです。
ローカル版オフィスでは、自分のPCのハードディスクにイン
ストールしたオフィスを使うのに対し、ウェブ版オフィスの場合
は、マイクロソフト社のサーバーに接続した状態で、オフィスの
サービスを受けるウェブ・サービス——そういう位置づけになり
ます。ローカルで必要なのはウェブブラウザだけです。
ウェブ版オフィス14は、現在のところ無料で使えるとアナウ
ンスされています。しかし、近い将来、それは有料になると私は
予測しています。ユーザーのPCと業者のサーバーがつながった
状態でユーザーがオフィスを使うと、ユーザーがオフィスのどの
ソフト——たとえばワード——をどれだけの時間使ったかを管理
できるので、その分だけの料金を請求するというかたちに発展す
ると思います。これが「SaaS」といわれる新しいコンピュー
タの使い方です。
こういうウェブ・サービスが実現するには、次の3つの条件が
必要になります。
—————————————————————————————
1.ネット接続の容易性
2.サーバーの性能向上
3.ブラウザ機能の増大
—————————————————————————————
最近ではネット接続は本当に簡単になっています。アイフォー
ンを使っていると、どこでネットにつながったのかわからないほ
どです。これに伴い、サーバーの性能が向上しています。現在の
サーバーは10数年前と比較すると、その能力は100倍以上に
向上しています。だからこそ、ブログのように凝ったレイアウト
を自動生成し、多くの人の閲覧に耐える速度で提供できるように
なったのです。PCの使い方に構造的な変化が生じていることを
知るべきです。 ──[クラウド・コンピューティング/15]
≪画像および関連情報≫
●CMSとは何か/コンテンツ・マネジメント・システム
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CMSとは、ウェブ・コンテンツを構成するテキストや画像
レイアウト情報などを一元的に保存・管理し、サイトを構築
したり編集したりするソフトウェアのこと。広義には、デジ
タルコンテンツの管理を行なうシステムの総称。CMSを導
入すれば、テキスト制作者はHTMLなどの知識を習得する
必要はなく、デザイナーはテキストが更新されるたびに作業
を行なう必要はなくなり、それぞれ自らの作業に集中するこ
とができる。また、サイト内のナビゲーション要素なども自
動生成するため、ページが追加されるたびに関連するページ
にリンクを追加するといった煩わしい作業からも解放される
ことになる。 http://e-words.jp/w/CMS-1.html
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2009年11月4日水曜日
Electronic Journal: ●「ウェブ・サービスとしてのオフィス」(EJ第2687号)
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