「知財」——いわゆる知的財産権の保護に関して米国はいろい
ろなことをやってきているのです。
—————————————————————————————
≪カーター政権≫
◎1982年/特許高等裁判所(CAFC)の創設
≪クリントン政権≫
◎1988年/スペシャル301条の成立
◎1994年/TRIPS協定のGATTにおける成立
◎1995年/中国の偽造CDの生産拠点の閉鎖
—————————————————————————————
個々について詳しく述べる紙面はありませんが、はっきりして
いることは、米政府、とくに民主党政権が知的財産権の保護に熱
心であることです。
なぜ、米国はこれほど知的財産権の保護を声高に主張するので
しょうか。実は米国がものづくり国家であったときは、この知的
財産権の保護にそれほど熱心ではなかったのです。
しかし、米国がものづくり国家としての限界を感じ始めたとき
から、米国企業は選択と集中——すなわち、産業界が強い技術を
持つ分野に特化しようとしたとき、知的財産権の保護の重要性に
目覚めたというわけです。
—————————————————————————————
この技術、権利として未だ認められていないのでないか。ずる
がしこい日本やアジアにコピーされたらひとたまりもない。
——原田武夫著
『計画破産国家/アメリカの罠』/講談社刊
—————————————————————————————
こういう米国の政策の最初のターゲットになったのは日本なの
です。今後は中国をはじめとするアジアになると思われます。こ
ういう考え方がクリントン政権時代における「日米包括協議」、
前ブッシュ政権における「対日年次改革要望書」などのかたちに
なって、日本を苦しめたのです。
この役割を担うのがヒラリー・クリントン国務長官であると原
田氏は述べていますが、それはなぜでしょうか。
当時のクリントン候補が2008年の大統領選で、インディア
ナ州の予備選を前に同州の民主党員たちに配布したプレスリリー
スには次のように書いてあるのです。このように、夫のビル・ク
リントン政権以来の民主党政権において、知的財産権問題は彼女
の一貫して強い関心事であったのです。
—————————————————————————————
侵害行為を止めさせるために知的財産権執行ネットワークを創
ります。(中略)我が国の自動車産業だけで毎年120億ドル
もの損失——この損害は25万人分の雇用に相当——を偽造に
よって被っており、しかもその75パーセントについて中国が
責めを負うべきなのです。クリントン上院議員はこれが一朝一
夕で解決される問題ではないと分かっています。(中略)大統
領になった暁には、クリントン上院議員は新しい知的財産権執
行ネットワークを創設し、その保護を強化するための包括的か
つ国家的な努力を向上させ実施していきたいと考えています。
——原田武夫著
『計画破産国家/アメリカの罠』/講談社刊
—————————————————————————————
米国による巧妙な見えない覇権に向けた企てはもうひとつある
のです。それは「原子力」です。これは、何を意味しているので
しょうか。
ビル・クリントン政権は、1998年7月28日においてウラ
ン濃縮を専門に行う公営企業体をニューヨーク株式市場に上場さ
せているのです。その企業体の名前は「アメリカウラン濃縮社」
というのです。ウェブサイトを示しておきます。
—————————————————————————————
http://www.usec.com/quickfacts.htm
—————————————————————————————
ところで、濃縮ウランとは何でしょうか。
天然ウランは、数億年の長い年月の間にウラン235とウラン
238の含有比率が一定になり、その比率は前者が0.7 %、後
者が99.3 %として鉱山から産出されます。しかし、軽水炉で
はウラン235が0.7 %では薄過ぎて燃やせないのです。核分
裂をしないからです。天然ウランを燃えるように3〜4%に濃く
したものを濃縮ウランといいます。そして、20%以上にしたも
のを高濃縮ウランといいます。
米国は古くなった核弾頭を解体し、そこから高濃縮ウランを創
り出すノウハウを持っているのです。そのため旧ソ連崩壊後、ロ
シアが処理に困っていた2万発の核弾頭を処理した実績があるの
です。高濃縮ウランは、原子力発電所をはじめとして多くの分野
に活用できますが、アメリカウラン濃縮社はそれを世界中に売り
捌こうとしているのです。
しかし、アメリカウラン濃縮社のビジネスが成功するには、次
の2つの前提条件が必要なのです。
—————————————————————————————
1.世界中の国が納得して濃縮ウランを買うようになる
2.濃縮ウラン・ビジネスを計画している国を排除する
—————————————————————————————
最大の競争相手はロシアということになります。そこで前ブッ
シュ政権は、2008年4月6日に「米ロ戦略枠組み合意」を結
んでいますが、これは米ロで濃縮ウラン・ビジネスの棲み分けを
狙ったものなのです。低濃縮ウランはロシア、高濃縮ウランは米
国という分担です。
折からの環境社会において原子力は貴重なエネルギー源になり
ますが、米国はこれを先取りしたのです。デフォルト宣言をして
借金をチャラにし、知財と原子力で国家の復活を狙う——これが
オバマ政権の戦略なのです。—[オバマの正体/最終回/62]
≪画像および関連情報≫
●バラク・オバマ/ヒラリー・クリントンの謎!?
———————————————————————————
やがて世界は一斉にアメリカ産核燃料(濃縮ウラン)を買い
付け始めるであろう。その時、今度は「スーパー・セールス
ウーマン」として世界中を飛び回り、大活躍するのがヒラリ
ー・クリントン国務長官、その人なのである。米朝国交正常
化がなぜか再びスムーズに進展しはじめ、イランが「普通の
国」となつていく中、飛び回るヒラリー・クリントン国務長
官の姿を目の当たりにし、私たち日本人は必ずや思うことだ
ろう。——「あの大統領選挙は一体何だつたのか」、そして
「バラク・オバマ、ヒラリー・クリントンとはいったい何者
なのか」と。 ——原田武夫著
『計画破産国家/アメリカの罠』/講談社刊
———————————————————————————ヒラリー&オバマ
2009年10月15日木曜日
Electronic Journal: ●「カギ握る知財権と濃縮ウランビジネス」(2672号)
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿