2009年10月22日木曜日

ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報 : デンスケ・ショックは、ゲバラ・亀井の独断?

アルルの男・ヒロシです。

今朝の新聞、週刊誌各メディア。斉藤次郎・元大蔵事務次官の日本郵政社長の起用について、詳しく書いている。中でも異色なのが読売の社説。

(引用開始)

民主党は野党時代、日銀総裁人事で財務省OBの起用に強く反対し、長期間にわたる総裁空席の事態まで招いた。

 それが今回、一転して大蔵OBの起用に踏み切ったことで、一貫性を欠くとの見方もある。

 だが、適材適所であれば元官僚といえども、起用をためらう理由はない。民主党が人材活用の手法を転換したのなら歓迎である。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091021-OYT1T01299.htm
(引用終わり)

『郵政次期社長 意外な大蔵次官OBの起用(10月22日付・読売社説)』という見出しである。批判を前に出したトーンではない。書いたのは主筆の渡邊恒雄にちがいない。デンスケはナベツネと近いという報道も以前にあったからだ。

また、「週刊文春」には、「後任は私が決めた!鳩山さんも知らないよ」という見出しになっている。亀井は選挙の前から、斉藤人事についてきめていたといい、鳩山総理に「あなたにもいえないよ」と言ったそうだ。朝日には、鳩山が人事を伝えられたとき、いったん、異議を唱えたと書いている。鳩山は、「いわゆる元官僚ではないか」と口を挟んだそうだ。しかし、斉藤次郎という名前を聞いたあと、「本当に能力のある人ならば認めるべきではないか」という方向に転換したと書かれている。

私見では、民業圧迫になる郵貯や簡保は業務拡大すべきではなく、拡大すべきは、郵便や郵便局業務だろう。斎藤体制で、金融強化を目指すのならば、これは反対しなければならないことだ。郵貯や簡保はそれ自体でサービスはすでに完璧に近い。分社化の弊害を直すだけでいい。

亀井は、「週刊文春」の記事では、「企業や人のためにならない銀行は百害あって一利なし。極論すれば、そもそも銀行なんて世の中に必要ない」と放言している。さすがは、チェ・ゲバラの肖像を事務所に掲げているだけある。亀井にとって、政権交代とは自民党に対する革命戦争だったようだ。

亀井曰く、「今はマスコミも世論もフランス革命と一緒だよ。『ブッた斬れ』『ブッた斬れ』で、ギロチンで首をきるたびに拍手喝采が起きる」。実は、亀井は公共事業の削減についての文脈でこの発言をしているのだが、政治闘争においても、当てはまると思う。

私は極端な革命が嫌いだから、この発言には少々危惧を覚える。しかし、権力闘争の視点だけで政治をみれば、この発言は理解できる。しかし、いずれ革命期が終わって平時に移行するのだから、いつまでもゲバラは必要とされない。

亀井の行った、中小企業に対する返済猶予政策は、アイデアとしては大風呂敷だが、魅力がある。それを大塚耕平議員が立派な法案にまとめた。亀井も、貸し渋り法案で最終的には現実的な妥協が出来る人なのだ。BIS規制の中小銀行への適用緩和・停止など、国際金融をやる大銀行と地域金融の線引きをしておこうというのが亀井の考えだろう。

ただ、今回の斉藤人事は、ちょっと先走りすぎだった。他にいなかったわけではなく、亀井の発言を聞いている限りでは、「俺が決めた」ということらしい。しかし、小沢、渡邊、亀井の三者で決めたのかもしれない。

民主党は脱官僚を訴える政党なのだから、「過去官僚」の斉藤を起用するのは矛盾する。もちろん、斉藤がどのような会社経営を行うかで評価は替わってくる。民主党・国民新党が打ち出した郵政見直し方針は、これ自体は非常に妥当なものなので、この路線を徹底するなり、日本郵政の経営陣が報酬を低く抑えるなりして、国民にアピールする必要がある。

今回の人事や一連の郵政関連の動きを見て思うことは、よくもわるくも、国民新党はしっかりと公約を実現する政党だということだ。ただ、綿貫代表を失って、「亀井私党」になってしまった感がある。政権交代の完成は来年の参院選だが、民主党が過半数を取れば、このあと国民新党は今のようなやりたい放題はできなくなる。国民新党は小泉郵政改革に対する怨念で出来た政党なので、存在意義を失えば解党されるべきだし、自然とその流れに向かう。新しい政治目標をみつけなければ、数年以内に国民新党はどこかに吸収される運命だろう。参院でも小沢が無所属の4人を民主党に入党させており、弱小政党の民主党への吸収が始まる。第三勢力の存在の余地が無くなるのも怖い。イギリスにしても、保守党、労働党の他に、自由党が存在する。

民主党を動かしているのは幹事長の小沢一郎だが、小沢一郎も参院選以降、比較的早い時期に政治家としての身を引くべきだろう。それまで、「小沢政治学校」の候補者養成術をしっかりと後身に伝承していくべきだ。

どんなに役不足だと思っていても、日本の次の政治は、菅直人とか、野田佳彦とか前原誠司とか、あるいは大塚耕平とか馬淵澄夫とか、そのほかの当選回数4回から上の政治家にゆだねられる。(そういえば、菅の国家戦略局はどうなったのだろう・・・・?)それを見越した上で、「ポスト政権交代」の人材を見いだしていく時期だと思う。私達は革命後の日本を見なければならないと思う。

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デンスケの略歴
(国際金融畑ではなく、主計畑です)

学歴 [編集]
1954年3月 - 都立新宿高等学校卒業
1959年3月 - 東京大学法学部卒業 加藤一郎ゼミ(民法)
職歴 [編集]
1959年4月 - 大蔵省(現・財務省)入省 主計局総務課配属
1965年2月 - 国際観光振興会出向 フランクフルト駐在
1968年8月 - 主計局法規課課長補佐
1970年7月 - 主計局主計官補佐(建設係主査)
1974年7月 - 理財局
1976年7月 - 西ドイツ大使館参事官
1979年  - 主計局主計官(企画担当)
        - 主計局主計官(公共事業担当)

1983年  - 主計局総務課長
1984年6月 - 大臣官房文書課長
1986年6月 - 主計局次長(次席)
1987年  - 主計局次長(筆頭)
1990年6月 - 官房長
1991年6月 - 主計局長
1993年6月 - 事務次官。1995年退任[8]
2000年5月 - 東京金融先物取引所理事長就任[8]
2004年4月 - 東京金融先物取引所株式会社化に伴い社長に[8]
2009年10月- 日本郵政次期社長に指名される。


デンスケの由来: 猪突猛進なところもあり、あだ名は「デンスケ」。趣味のマージャンで上がる際に「デーン」と言ったり、「デン助」と親しまれた喜劇役者の大宮敏充に容姿が似ているということから付けられたという。


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