2009年9月29日火曜日

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題名:No.891 正しい方向へ転換できるか
From : ビル・トッテン
Subject : 正しい方向へ転換できるか
Number : OW891
Date : 2009年09月24日
昨年からアメリカでは、大企業が次々と経営破綻している。豊かさの象徴でもあった自動車会社のGM、保険大手のAIGが経営破たんして国営になったことは、アメリカが社会主義になったということを意味するという人もいるが、その一方で、アメリカではあいかわらず民営化が続いている。
(ビル・トッテン)

正しい方向へ転換できるか

民営化とは、端的に言って、国民の税金で作ってきたインフラやサービスを、バーゲン価格で民間に差し上げることだ。たいていの場合、その交渉は秘密裏に行われ、安値で手放す上に買い手側(投資家)に有利な条件がつく。

たとえばアリゾナ州は予算不足をまかなうために、州が所有する刑務所や州議会などを含む約30の建物を売却した。売却代金として、州は7億3,500万ドルを手にする一方、建物を使い続けるための賃貸料として毎年6,000万から7,000万ドルを払い続けていかなければならない。

シカゴでは昨年、市のパーキング・メーターが民営化された。ある報道では実際の価値の半額で売却されたともいわれている。この民営化による市民への大きな影響は、パーキング料金が2倍から4倍に値上がりすることだ。

さらにはペンシルバニア州では、2人の判事が民営化された少年刑務所から賄賂をもらい、少年を投獄するという事件もおきた。保護監察官の反対にもかかわらず、この判事によって2002年からおよそ5千人の未成年者たちが刑務所に送り込まれたという。

民営化といえば忘れてはならないのがアメリカのイラク戦争だ。イラクに駐留する米軍の次に大きな駐留部隊は民間企業に雇われた傭兵である。これまで米軍がやっていた、兵舎の建設、食事の供給など、そのほとんどを今では民間企業が行なっている。またロジスティック面だけでなく、ブラックウォーターUSAといった傭兵派遣会社は、戦術訓練を受けた人材をイラクに送っている。そしてこうした民間企業は膨大な請求書をアメリカ政府に送りつけ、結局それは国民の負担となるのである。

民営化の本質は、国民の負担が増え、一部の人が富を手にするということだ。日本でも今になってようやく、郵政民営化で誰が富を手にしたのかが衆目にさらされ始めた。もし国民が、国の資産が一部の人々の利権にすり替えられるのが「郵政民営化」の本質だと認識していれば、多くの人が郵政民営化に反対したことだろう。

債務超過で破綻すれば国有化し、売って儲かれば民営化するというアメリカのやり方は、結局は同じ人々、つまり一般国民ではなく一握りの支配者層だけが富を手にするという構図である。小泉改革は、「子どもたちの世代にツケを残さず、安心で安全な社会を維持する」というマニフェストのもと、民営化、規制緩和を行ない、同時にさまざまな手当て、年金をカットした。結局、子供たちの世代の負担を増大させたのである。しかしこれも、自民党を長年支援し続けた、または無関心から選挙で投票すらしなかった国民の責任である。今回の政権交代においても、日本が正しい方向へ転換できるかどうか、それは民主党だけではなく、有権者自身の意識にかかっている。

Posted via web from realtime24's posterous

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