2009年7月11日土曜日

徒然草 - Wikipedia

つれづれなるまゝに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。 

(訳)暇をもて余しているままに、一日中(筆を執り)硯に向かって、心に浮かんでくるとりとめのない事を、何となく書き綴ると、怪しく物狂おしい
(通釈)何をすればよいのか、それすらわからず毎日を過ごし、ただ漫然と筆を執り硯に向かって、ふと心に浮かんでくるとりとめもない事を、取り敢えず何となく書き綴ってみると、自分でもよくわからないが、何とも不可思議で、まるで自分が書いた物ではなく気が狂ったような感じだ。

「心にうつりゆくよしなし事」を書き綴るわけだが、それを書き綴ってみると、「あやし」い程に「物狂ほし」い。「あやし」には「自分では理解できない、不思議だ、変だ」の意味があり、「物狂ほし」は「狂ふ(正気を失う)」を形容詞としたもの。書き綴ったことにたいして「あやし」と思う。接頭語になっている「もの」は多く前述の内容を指し(「ものす」が代動詞的であることなど、「もの」には代名詞的な役割がある。為るを見よ)、「物狂ほし」とは何かをさして「狂ほし」いの意である。その何かとは、日々うつろう自分の考え、それを記したこの作品であって、その思いが「あやし」いのであろう。

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