2009年7月1日水曜日

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彼女が31歳のときのこと。「生きていても仕方がない」と思った彼女は、夜中になると、ホッチキスの針や釘などの金属を飲み込むようになったのである。半月ほどの間に彼女が飲み込んだのは、フォーク、釘、ホッチキスの針無数、縫い針100本、ガラス……。もちろん、腹痛のためその間食事はほとんど何も食べられなかった。サランラップのカッター部分を飲み込んだあとから腹痛がひどくなり、某大学病院救急部を受診、即日異物除去手術が行われることになった。
 胃の中では胃酸とアルミニウムが反応して水素ガスが充満していた。電気メスで切開したときには爆発音がしたという。胃の中では金属がからみあって握りこぶしほどもある腫瘤を形成していた。論文には胃のX線写真が掲載されているが、胃の中は金属片が充満しており、かなり太い釘のような金属棒や、4本の先端のあるフォークらしきものまで見える。
 「そういえば、夜中にトントンと金槌で叩く音がしていた」と同居していた母はのちに語っている。彼女は、母が眠っている隣の部屋で金槌で釘やフォークを砕いては、口の中に入れていたのである。ひたすら金属を口に入れつづける娘、奇妙な音に気づきながらも何も娘に言おうとしない母親。寒々とするような家庭風景である。
 彼女はそれから半年近く入院するのだが、しばらくは小石を口に入れようとしたり鋏で手首を切ろうとしたりといった行為が続いた。さらに、彼女は医師に対してこうも訴えていたという。
「針千本飲まないといけない」
異食 (via kazukij) (via suyhnc)

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