誰かと話をする時、あるいは誰かの発言を見聞きする時、そこで「何が語られているか」を理解するだけではなく、「何が語られていないか」を察知する能力というのが、実は非常に重要なのではないかと思う。
目の前にポンと出されたものの良し悪しや好き嫌いをとやかく言うのは簡単だ。
だが、もしそれが氷山の一角だとしたら?
そこでいま見えていないものがどれくらいあるのか、見抜けるかどうかが肝心になる。
さらには、なぜそれが隠されているのか、偶然なのか故意なのか、そこまで思考を巡らせる必要があるかもしれない。この素晴らしく示唆に富む本に「情報深度」という概念が出てくるが、ある情報を生成するために切り捨てた情報の量が多いほど、またそれを生成するのが困難なほど高くなるのが、情報深度という尺度だ。
情報深度の高いメッセージは、その背後にいわば莫大な「暗黒物質(ダークマター)」を抱えているようなものと言えるだろう。そう考えると、同じ140文字のメッセージでも、額面通りに受け取っていいものもあれば、それでは明らかにまずいものもあるはずだ。
それを的確に判断できないと、メッセージの本質から離れた重箱の隅をつつくような議論をしてしまったり、下手をするとある種のポピュリストやロビイストに踊らされたりして、コミュニケーションの真の目的を見失ってしまうだろう。目に見える情報を解釈するリテラシーに加えて、目に見えない「ダークマター」に思いを馳せる知的想像力を身に付けてこそ、真に価値のあるコミュニケーションが可能になる気がしている。
2009年7月20日月曜日
IA Spectrum: コミュニケーションと「暗黒物質」
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿